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RICOH 製造業DX 実践ラボ

センサー付きRFIDとは?②

RFIDシステム

今回は以前ご紹介しました「センサー機能付きRFタグ」の第二弾コラムとして、センサー付きRFIDの利用シーンやメリット、注意点等をご紹介します。

センサー付きRFIDの利用シーン

『センサー付きRFID』 とは?

RFタグのICから各種センサーを接続し、RFIDのメモリに書かれたデータを読取ることと同時に温度や湿度などのセンサーの値を読取ることができる商品です。センサー付きRFタグは、センサーの種類によってさまざまな用途があります。最も多く商品化されているのは温度センサー付きのRFタグです。

主に北米を中心にCold Chain(低温物流)の機運が高まっており、低温物流に関する国際標準化組織の設立の動きもあるほどです。冷凍のピザが輸送中に高温になることで解凍され、再凍結して販売されるような状態になってしまうことが考えられますが、その場合商品の品質や安全面をだれが保証するかという問題が発生します。中国の工場で製造された商品がアメリカの小売店まで0度以下の温度で運ばれなければならず、その間には多くの運用業者や仲卸業者が関与します。当然ながらすべての業者では冷凍庫に入れて保管・輸送しており、冷凍庫の庫内温度はデータロガー等で担保することができますが、ピザ1つ1つの温度までは管理できません。冷凍庫の扉が開きっぱなしになり、温度計周辺の温度は問題なくてもピザの温度は0度を超え、解凍されてしまうようなことも考えられます。

このような事業は食品のみならず、薬品においてはより精緻な管理が必要なものもあります。記憶に新しい新型コロナウイルスワクチンでは輸送温度と保管温度が厳密に規定され、その温度域を外れると品質が担保できません。国内では冷蔵後、冷凍庫の管理温度にて品質を担保していましたが、ワクチン1つ1つの温度が閾値内であったことは担保されていないのが実情です。

また、製造業での用途としては「水漏れセンサー」を搭載したRFタグを使用した設備の水漏れ点検業務の簡易化が行われています。

さらに、振動センサーを使用した製品の落下検知による品質の保証、照度センサーを使用し、照明の自動コントロールなどの用途も容易に考えることができるでしょう。

センサー付きRFタグのメリット

一般的なセンサーではなくセンサー付きRFタグを使用するメリットとは何でしょうか?

1)電源不要

一般的なセンサー機器はセンサーを駆動させるための電源、電池が必要なことに対し、センサー付きRFIDは種類にもよりますが、電源を必要としません。

2)データの取り出しが容易

センサー付きのRFタグは、センサーのデータをRFIDのエアインターフェースのデータに乗せることができます。すなわち、ハンディリーダでRFIDを読取ることと同様に読み取ることができます。センサーをLANやLPWAに乗せたりシリアル接続で取り出す必要がありません。

3)小型、安価

ネットワークやシリアル通信のインタフェースを必要としない分、小型で安価に作ることができます。

使用上の注意点

1)センサーへの給電

センサーを動作させるのには電力が必要になりますが、この電力の供給方法は2つあります。

◆電池を内蔵する

アクティブタグ同様に電池を内蔵し、内蔵電池よりセンサーに給電することができます。この場合、定期的にセンサーを駆動させるSimple SensorやFull Function Sensorであっても問題なく使用できます。しかし、アクティブタグ同様に電池交換の手間や爆発物による安全面の問題をクリアする必要が生じます。

◆RFIDの無線の電力を使う

パッシブタグ同様にRFIDの無線の電力で給電することができます。Snapshot Sensorを使用する場合にはこの方式が使われます。Simple SensorやSnapshot Sensorの場合、電力を供給し続ける(=RFIDの電波を当て続ける)必要があるという点に注意しなければなりません。

2)センサーの精度と校正

センサーには必ずばらつきが生じます。出荷時にセンサーの精度が保証された製品はほぼありません。従って、購入後のセンサーはそれなりにばらつきがあります。また、センサーは工業製品であるため使用に応じて誤差が生じてきます。一般的にセンサーを使用し続けるためには定期的に誤差を修正する校正作業が必要になります。しかし、ISO/IEC 18000-63で規定されたセンサーは校正することができません。そのため多くの製造・流通現場では計測器として用いることができません。日本の多くの製造業では何かしらの検査結果を記録する場合には、検査結果と同時に検査する機器の校正記録がセットで記録し、結果の正しさを担保しております。そのため、多くのケースではセンサー付きRFIDは検査には使用することができません。精度の保証できないセンサーを使用するためには以下の手段が考えられます。

◆あくまでも目安と考え、誤差範囲内に収まるかどうかで判断する

センサー付きRFIDの結果データはあくまでも目安として考えるという手段があります。例えば、保管温度が3度~9度という規定がある商品の温度をセンサー付きRFタグで記録する場合、6度であるように運用すればセンサーの誤差は+-3度許容されることになります。タグのばらつきが+-3度であれば十分使用することができるといえるでしょう。

◆センサーを計測し、データを補正する

例えば、あるRFタグの温度センサーがプラス2度となっていた場合、計測値からマイナス2度すれば正しい値となります。センサーの誤差をあらかじめ計測し、ソフトウェアで補正することができればほぼ正しい値を得ることができます。

◆平均値をとる

RFタグが安価に調達できた場合、測定したい場所に多くのRFタグを貼付し、計測データから特異点を除去後に平均値を求めれば比較的精度の高い値を得ることができます。

今回ご紹介しました『センサー付きRFタグ』について、ご質問やご相談などありましたらお気軽にお問い合わせください。

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