Change Country/Area 日本 - ソリューション・商品サイト
Main content

RICOH 製造業DX 実践ラボ

リコーの提唱するDXのためのRFID活用

RFIDシステム

本記事では製造業で盛んに取り組みが行われているDXの事例として、リコーグループのRFID活用実践事例をご紹介いたします。
皆様の会社、現場でのDXの実現の足掛かりに是非お役立てください。

【リコー福井事業所 社内実践事例】RFID活用で設備予備品管理のDXを超加速!

プロフィール

企業名 株式会社リコー 福井事業所
事業内容 情報機器関連サプライの製造(感熱紙、熱転写リボン)
部門 RIS-BU サーマルメディア事業部 グローバル生産技術開発室 設備技術グループ
対象業務 設備予備品の保全・管理

生産を止めてはならない!設備の保全部品管理

リコーグループの生産工場でも、現場起点のDX化が進んでおりましたが、福井・沼津に拠点をもつサーマルメディア事業部では、同事業部の海外拠点がいろいろな業務でDX化を進めているのに対して、DX化が遅れていると感じていました。中でも、通常生産とは違い、大物生産となる設備の予備品の管理が依然として、手作業・目視確認・メモ・Excel転記といった、個人依存の管理になっていました。
コーターなどの大型設備もあって生産を止める事が非常に難しく、PM(予防保守)などを入れていきますが、設備の停止時間を最小限にするための予備品その他関連備品は2,000種類、総数で4,000になります。

各担当者が手作業で個別管理していた設備予備品は鮮度管理がリアルタイムで行えず、同じ事業部の複数拠点での共有が出来ていなかった。

各担当者が手作業で、個別管理していた場合、どういう悪影響があったのでしょうか。

在庫の情報が共有できておらず、情報鮮度も分からず、結果として欠品や過剰発注が起きていた。
Excelの在庫リストは個人保管でした、部全員の情報を合わせて初めて全数が分かる状態でした。
複数の事業所で同じ設備もあるなかで、事業所・担当者で複数のExcelを見て発注などをしていましたが、情報の更新も徹底ができていなく、足りない備品が出てしまったり、必要以上に発注して過剰在庫になっている備品がありました。

突発故障時、予備品捜索に時間がかかり、結果として復旧まで長くかかってしまう。
設備の予期せぬ停止があった際、該当する設備の予備品リストが共有されていないと、他の担当者のExcelを探して、さらに現場の備品を探して、復旧開始まで多くの時間がかかっていました。

棚卸し時、現物とデータの照合に時間がかかる。
備品についているのは手書きメモ・ラベルのみでした。そのため実棚卸では現物の確認が必要でしたが、全数の確認は非常に時間がかかっていました。

設備の方でどれだけ準備をしても、備品の管理情報が不足・不十分で、結果として設備の予定外停止を長くしてしまう、これでは目的を達成できているとは言えない状況になっていました。
以上の点から、管理方法や運用方法の変更が必要と考えて、検討を始めました。

設備保全・備品管理ではどんなお困り事が多い?

一般的に、設備保全・備品管理では、以下のようなお困り事を相談いただきます。

・情報の属人化と更新漏れ
記録がExcelやアナログで、現場ごとに担当者が別々に管理していると、設備や備品の位置、状態、使用履歴などの情報が最新のものにならず、引継ぎがうまくいかないことがある。

・デジタル化の遅れ
紙ベースやExcelなどの管理方法に依存している場合、リアルタイムな状況把握やデータの一元管理が難しくなります。設備の「みえる化」が進まず、予防保全や的確な改善策の立案も遅れがちです。

・在庫・所在管理の不備
備品の保管場所が把握できず、実際の在庫数とシステム上の数値に乖離が生じやすくなります。これにより、必要な備品が見つからなかったり、無駄な時間を費やして探すケースも発生します。

・メンテナンス・保守スケジュールの管理不足
定期点検や保守作業の計画が整っていないと、設備の劣化や故障の兆候を見逃してしまい、結果として、突発的な故障や生産ラインのダウンタイムが発生し、生産計画に大きな影響を与えてしまいます。

最終的に、生産計画に影響を与えてしまう管理は、良い管理とは言えないですね。

どうやって改善したらよいか

リコー福井事業所では、❶備品管理エリアの整理整頓、❷台帳のシステム化、❸備品表示ラベルのRFID化、の3つを行い、この課題に対応しました。
各個人のExcelの台帳をシステム化で統合するにあたり、汎用のパッケージを採用して、Fit to Standardで、業務を合わせて変更することで、運用を止めないことを心がけました。
台帳の整理をしながら、同時に備品管理エリアの整理整頓にも着手されました。
備品管理の単位(箱・ケース単位や、ケーブル1本単位…といったさまざまな区分)や、置き場が整理整頓されたことで、備品表示ラベルをRFIDにして、全体で備品在庫管理ができるようになりました。

この改善で得られた効果は

在庫情報をシステムにして、他拠点・他事業部と備品を共有し、在庫と管理コストの削減ができました。

突発故障時、予備品捜索がなくなり、平均修復時間を短縮できました。
(ア) 突発故障時の予備品捜索がほとんどなくなりました。
導入前は26.97時間 → 導入後は0.87時間(96.8%削減)
(イ) 平均修復時間(MTTR)を削減することが出来ました。
過去7年で、故障からの平均修復時間は
導入前は1件対応につき3.6時間 → 導入後は3.1時間(13.8%削減)
1件当たり0.5時間、対応時間を減らすことができました。
故障件数が26.1件でしたので、年間で13.05時間の削減になります。

棚卸の時間を削減することができました。
棚卸1回あたり6.5時間 → 2.0時間/回(69.2%削減)
台帳システムを導入して、備品ラベルをRFIDにした効果で、特に員数確認はRFIDであっという間に検品が終了します。

通常業務で、これだけの効果を出すことが出来て、DX化による効果をしっかりと出すことが出来ました。
さらに、設備の稼働率向上、生産時間が確保されたことで、対象設備からの生産→売上・粗利額までを貢献に入れると、より投資対効果は大きくなります。

福井事業所はこの取り組みを、他の拠点にも展開できないか、サーマルメディア事業部内で展開することでさらに効果を大きくできないか、現在も検討を続けています。
個人別、Excel、目視確認から → 共通システムで見える化、RFIDでデータ化を進めた好事例ですね。

是非、事例についてお聞きになりたい方は、お気軽にリコージャパンまでお申し付けください。
ありがとうございました。

お問い合わせ・ご相談
RFIDの基礎から活用例がわかる!
製造業のDX特設サイト

関連記事