オフィス移転やリニューアルを検討している場合、検討したいのが「床」の施工です。オフィスの床の上で電源やケーブル等が乱雑になっている状態は、せっかくオフィスを新しくしても美観が損なわれてしまいます。
また同時にケーブル類が散乱していると従業員が移動中に引っかかり、転倒リスクもあることから、安全性にも欠けます。効率的な配線のために重要になるのがOAフロアです。
OAフロアには、さまざまな種類と効果があります。選び方や注意点を確認することで最適な導入が可能になるでしょう。そこで今回は、OAフロアの基本から採用するメリット、OAフロアの種類と選び方、導入時の注意点、また施工事例までをご紹介します。
OAフロアは、オフィス新設はもちろんのこと、オフィス移転やリニューアルなどで新たにオフィスを作り変えるときにも検討したい床の種類です。その定義や生まれた背景、フリーアクセスフロアとの違いについて解説します。
OAフロアとは、OA機器のケーブルや電源コード、コンセントなどの配線を床下に収納できる、二重構造の床(二重床)です。
複数の種類がありますが、基本的に床の上にパネルを敷き詰めることで空間ができ、その空間にOA機器の配線をパネルで覆い隠すことで、上から見えないようになっています。
OAフロアは、コンピュータが普及してきた時期に、1960年代に日本企業が開発に取り組み、販売が始まりました。当初は大学の電算室に導入され、その後、企業にも機械室や製造工場などに導入されました。
そして近年はPCの普及が進み、コード類が増加したことでOAフロアの需要が生まれたことから、一般企業にも普及しました。現在はオフィスビルのほとんどにOAフロアが採用されています。PCやデバイス機器などのあらゆる設備や機器が欠かせないオフィスにとって、OAフロアはスタンダードな床となっています。
OAフロアは、フリーアクセスフロアの一種です。フリーアクセスフロアとは、床を二重構造にして床下にケーブルなどを配線する仕組みの総称を指します。その中でも、特にオフィス用途で用いられるものを「OAフロア」と呼ぶのが一般的です。
フリーアクセスフロアは、OAフロアよりも幅広い用途で利用されています。例えば、配線がオフィスよりも多くなるサーバールームや大学の電算室や実験室、病院、放送局、飲食店や小売店などに採用されています。
また後ほど詳しく解説しますが、OAフロアもフリーアクセスフロアも、置敷タイプと支柱タイプに分かれます。
OAフロアをオフィスに採用するメリットには、主に次の点があります。
一番の目的は、配線の効率化です。近年はPCや複合機、その他の機器類など電子機器や端末がオフィスに多く導入されています。またLANケーブルなどを通じて有線ネットワークを敷くことも一般的です。
これらの配線を床上にそのまま配置すると、動線の妨げになるだけでなく、配線の整理や管理がしにくくなり、レイアウト変更のたびに大がかりな作業が必要になります。OAフロアを導入すると、配線を床下にまとめて収納できるため、配線の整理がしやすくなります。また、機器の増設やレイアウト変更の際も、床パネルを開けて柔軟に配線を変更できるため、作業効率の向上が期待できます。
配線がすっきりときれいになることで、従業員が歩いているときに配線に引っかかることも減ります。断線したり、怪我をしたりすることの防止につながります。
こうした安全の観点からOAフロアは、労働環境の安全性を高めるための設備として、導入しやすくなります。
OAフロアは、基本的に床下に配線が収納されるため、床上には何も配線が見えない状態になります。OAフロアを導入していないオフィスと比べて、美観が優れており、優れたオフィスデザインとなります。
OAフロアは清掃しやすくなるというメリットも見込めます。配線が多いと、掃除機をかけるときに配線の隙間の埃やゴミを吸い込む必要がありますが、すべてを吸い込み切れないこともあります。しかし、もともと配線類が隠れるOAフロアは、スムーズな清掃が可能になります。
OAフロアには、複数の種類があります。用途や配線量に応じて最適なOAフロアを選ぶことが重要です。ここでは代表的なOAフロアの種類について解説します。
OAフロアは、大きく分けて2つのタイプに分かれます。
置敷タイプは、パネルに支柱(脚)が一体化されており、床面に敷き詰めていくタイプです。まるでブロックのように直接敷き詰めるのが特徴です。
置敷タイプは、さらに2つのタイプに分かれます。
支柱タイプは、支柱の上にパネルを設置するタイプです。支柱は高さの調整が可能であることが特徴です。支柱の高さを調整することで、収納スペースをより大きく取ることができるので、配線やコンセントの多い場所に適しています
置敷タイプと支柱タイプは、一般的には表のように比較できます。
| 置敷タイプ | 支柱タイプ | |
|---|---|---|
| 施工期間 | 短い(工程が少ない) | 長い(高さ調整工程あり) |
| コスト | 比較的低コスト | 比較的高コスト |
| 収納容量 | 配線空間が少なくなりやすい | 配線空間を確保しやすい |
サーバールーム・大規模なオフィス・データセンターなど、配線量が多く床下空間を広く確保する必要がある場合は、支柱タイプが採用されるのが一般的です。
床下空間を利用して大量の配線を収容できる一方で、配線経路が視認しにくくなるため、適切な配線管理として識別表示などを行わない場合は保守性が低下する可能性があります。
配線変更のしやすさは、変更の規模によって評価が異なります。
小規模な配線変更や増設においては、溝配線タイプが最も優れており、カバーを外すだけで迅速に対応可能です。
一方、支柱タイプ(床高調整式OAフロア)は床下空間が広く、配線経路の自由度が高いため、大規模なレイアウト変更や配線再設計に適しています。
置敷式簡易タイプは、床下空間が限られるため作業性・自由度の両面で中間的な位置づけとなります。
OAフロアの材質の種類には、主に樹脂、コンクリート、金属(アルミ、スチール)の3種類があります。
| 特徴 | |
|---|---|
| 樹脂 | 樹脂(プラスチック)でできているため、とても軽く、低コストに施工ができます。またパネルの入れ替えが容易であるため、レイアウト変更の際に便利です。一方で、耐久性や耐熱性に劣り、歩くと足音が多く大きく響くといった欠点があります。この点は、執務エリアなどの静かなスペースでは不向きといえるでしょう。また普通の床とは異なるため、歩き心地が少々気になるかもしれません。 |
| コンクリート | コンクリートでできているOAフロアは、耐久性があり、足音が響きにくく、静かなオフィスに適しています。歩き心地は普通のオフィスの床に近いため、違和感がないメリットがあります。一方、資材や施工の費用が高額になりがちです。 |
| 金属(アルミ・スチール) | アルミとスチールともに耐久性や耐震性が高いのが特徴です。 ・アルミ:アルミ製は寿命が長いメリットがあります。一方、資材や施工の費用が高額になりがちです。 ・スチール:スチール製は歩きやすい点や耐荷重に優れています。一方で、歩くと違和感のある音が生じることもあります。 |
先ほどは、OAフロアには複数の種類があることをお伝えしましたが、それぞれ最適なものを選ぶことが大切です。主に次の選定基準で選びましょう。
オフィス規模によってOAフロアの選択肢が変わります。大規模企業は、比較的、配線量が多くなりやすいので、支柱タイプで床下を広く使えるほうがおすすめです。
小規模オフィスであっても、IT機器が多い場合や将来的な配線増設が想定される場合、あるいはもともとの床が平坦ではなく調整が必要な場合には支柱タイプが適しているケースがあります。そのため、小規模オフィスにおいては、置敷タイプを前提とするのではなく、用途に応じて支柱タイプも含めて比較検討することが重要です。
施工期間をできるだけ短縮したい場合、置敷タイプが優先となるでしょう。また予算が限られている場合は、より低コストで利用できる置敷タイプが第一選択肢となります。
支柱タイプは置敷タイプと比べれば、施工期間が長くコストも上がります。一方で、収納量は増えるため、配線の自由度や将来的な拡張性に優れています。フリーアドレスや人員の増減が多いオフィスなど、レイアウト変更の機会が多い環境では、運用面での柔軟性が高まり、結果として業務効率の改善につながる可能性があります。
OAフロアの耐荷重性能は、単に現在設置している設備だけでなく、実際の使用状況や将来的な増設を見据えて検討する必要があります。
一般的なオフィスでは、デスクやチェアに加えて複合機や収納キャビネットなどが設置されますが、これらは配置や使用状況によっては想定以上の重量になる場合があります。特に書類を多く収容した書庫などは、床への負荷が大きくなるため注意が必要です。さらに、サーバー機器やネットワーク関連設備を設置する場合は、機器自体の重量に加えて配線や周辺機器も含めて考慮する必要があります。
このように、OAフロアの耐荷重は「現状の重量」だけでなく「将来的な運用」を踏まえて余裕を持って選定することが重要です。
置敷タイプと支柱タイプでは施工方法が異なるため、特に賃貸オフィスの場合は事前の確認が重要です。支柱タイプは施工方法によっては床に固定する場合があり、その際に接着剤を使用するケースがあります。一方で、非固定で設置できる仕様もあるため、建物の工事条件に応じた選定が必要です。
また、支柱タイプは床が上がるため、天井がもともと低いオフィスでは圧迫感を感じやすくなります。そのため、天井の高さとのバランスをふまえた選定が重要です。配線量に応じて必要な床下空間を確保しつつ、全体の高さを抑えるために、薄型のOAフロア(低床タイプ)を採用するなどの調整も有効です。
OAフロアの仕上げ材には、タイルカーペットやビニル床タイルなどが用いられます。例えば、ビニル床タイルは土足利用や汚れの発生が想定される環境において、清掃性を重視して採用されるケースがあります。一方、OAフロアは床下配線の点検や変更作業を伴うため、パネル上の床材を取り外しやすいことも重要な要素となります。そのため、作業性を考慮して床材が選定されることもあります。
このように、床材は単純に素材の性能だけでなく、運用やメンテナンス性を踏まえて選択されます。
OAフロア導入時の注意点をご紹介します。
OAフロアの導入時には、まず信頼のおける業者を選定することが欠かせません。OAフロアは、先述の通り、さまざまな種類があって、適したものはオフィスによって異なります。それを考えると、OAフロアのそれぞれの種類の特徴をよく知っており、オフィスの規模や利用状況などによって最適なものを提案してくれる業者であれば、スムーズに進みます。また、施工についても腕の優れた業者を選べば、より効率的な工事が可能になるでしょう。
業者によっては、オフィス環境の事前調査を行ってくれるところがあります。現場調査は正確に見積もりを取得するために重要です。調査では、床の面積や現状の床の状態、ドアの開閉部分への影響の確認や、電源の容量や配線ルートの設計想定などを行います。
OAフロアは、より長く安心して使用するためにも、品質保証について十分に確認しておくことが重要です。OAフロアには性能の認証制度が複数あり、参考にすることで、品質の高い製品を選ぶことができるでしょう。
施工業者を選定する際にはアフターメンテナンスの対応体制も確認しておきましょう。歩くたびにパネルがガタガタするなど、不具合が発生したときにすぐに対応してもらえるようにしておくことが大切です。
また、定期的にメンテナンスを受けることで、長期的に安全なOAフロアの利用が可能になります。
オフィスにOAフロアを施工した事例を見ていきましょう。
ある中小企業のオフィスでは、入口の足を踏み入れる場所に横に配線が走っており、足を引っ掛けるリスクが高い状況でした。また、他の場所も配線が重なっているところがあり、危険を極めていました。
OAフロアを導入したことで、安全性が高まり、業務効率が上がりました。また職場の労働安全の観点からも有効な結果となりました。
ある企業では、OAフロアを導入前は床を走っているケーブルにつまずくことがありました。しかしOAフロアを導入後はつまずくことがなくなり、掃除しやすくなりました。
また見た目もスッキリしたため、ストレスなく気持ちよく働くことができるようになりました。
これらの事例を通じてわかることは、OAフロアはそこで働く従業員の業務効率を高め、安全性を高めることです。見た目もきれいになり、快適なオフィス環境づくりにつながります。
ある企業のオフィスは古いビルに入居していたため、OAフロアが導入されていませんでした。OA機器の利用が増えたことから必要性が増し、タイルカーペットをOAフロアに変更しました。
樹脂製のOAフロアを選び、カーペットをはがして、下地シートを貼り、OAフロアを設置する工事を行いました。仕上げはタイルカーペットや塩ビタイルを使用。木目の模様で外観が良くなりました。
OAフロアの必要性や種類、選び方、導入のポイント等についてご紹介しました。OAフロアをこれから導入する方は参考にしていただけますと幸いです。
OAフロア工事の手配だけでなく、オフィスのレイアウトや配線環境に合わせた最適なご提案も可能です。導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
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