製造業における工程管理の見える化のメリットとは？成功事例やツール導入のポイントもご紹介
製造業において、工程管理は製造品質の維持や納期の厳守などあらゆる目的のために必要不可欠です。その工程管理をより効率化するために、「見える化」が進んでいます。
今回は、製造業における工程管理の見える化の手段やそのメリット、工程管理の見える化を成功させた事例、ツール導入の際のポイントをご紹介します。
製造業における工程管理の見える化とは？その手段をご紹介
製造業において進んでいる工程管理の見える化とはどのようなことなのか、背景や具体的な手段も合わせて確認していきましょう。
工程管理の見える化とは
工程管理の見える化とは、製造工程や進行を一目で分かるように可視化することを指します。製造業においては製品などの製造に当たって、納期や品質維持、適正在庫の管理など多様な管理項目の下で製造を進めています。
そのような中、工程管理をグラフや図などを用いてわかりやすく可視化することで、製造の工程管理の円滑化や製造品質の安定化を推進でき、問題があれば迅速に対処できる体制を整えることができます。
工程管理の見える化の手段
工程管理の見える化は、次のようなさまざまな手段があります。
- アナログのホワイトボード
工場の事務所などに掲げたホワイトボードに進捗を直接記載する方法です。 - Excel
Excelのシートに記入し、共有して利用するのが一般的です。 - 表テンプレート
ExcelやWord、その他のドキュメント作成ツールにおいて表テンプレートを利用して作成する方法です。 - 進捗管理ツール
プロジェクトやタスクの進捗管理が可能なツールを導入する方法です。ガントチャート形式で管理できるものもあります。 - インタラクティブホワイトボード（電子黒板）
大型のタッチディスプレイにOSが搭載されたデバイスで、従来のホワイトボードとしての使い方はもちろん、Web会議開催やアプリケーションのインストールが可能なモデルもあります。
ディスプレイに工程管理表を表示した上で、アナログのホワイトボードと同じ感覚でExcelや進捗管理ツールなどに手書きで書き込みができるのが特徴です。 - IoT(Internet of Things)センサーとシステム
工場の各機械や設備から情報をデータとして受け取ったり、工場内に設置したIoT(Internet of Things)センサーからの情報などを用いて、工程の進捗情報を取得して集めたデータをシステムのダッシュボード上に表示する方法です。
工程管理の見える化のメリット
工程管理の見える化は、次のようなメリットが期待できます。
問題への迅速な対応による生産性・品質向上
工程管理を見える化しておくと、何か問題が生じたときに解決が進みやすくなります。例えば、歩留まり率の低下の兆しが見られた際に、どの工程が原因なのか即座に発見できるため、問題へ早期に対処でき、全体へ影響が及ぶことを予防できます。これにより生産性と品質向上につながります。
業務改善・ミス低減・属人化解消
工程管理を見える化することで、作業管理者や熟練作業員だけでなく、現場の誰もが容易に工程の進捗や現状を把握できるようになります。その結果、業務改善やミスの低減が進むと考えられます。また勘や経験によって一部の管理者によって行われていた管理の属人化を解消できます。
生産現場での情報共有・コミュニケーション活性化
工程管理だけでなく、他の情報共有やコミュニケーションを行える機能を持つ、進捗管理ツールやインタラクティブホワイトボード（電子黒板）といったツールを導入することで、生産現場での情報共有・コミュニケーション活性化にもつながります。
工程管理の見える化を成功させた事例
実際に、リコーのインタラクティブホワイトボード（電子黒板）を用いて工程管理の見える化を成功させた事例をご紹介します。
課題
金型の設計・製造を中心とした製造業の株式会社日清精工様では、多種多様な製品の製造を日々行っており、生産現場における工程表管理は重要な取り組みです。
しかし従来はExcelでの工程表管理を行っており、一元管理や現場への情報共有が困難な課題がありました。またミーティングの際にディスプレイに大きく表示し、手書きをしながら進められれば、より情報共有を効率化できると考えていました。
導入内容
そこで、生産現場の工程表管理にインタラクティブホワイトボード（電子黒板）を活用することを決めました。日々更新が必要な各種工程表をインタラクティブホワイトボード（電子黒板）に映し出し、変更点が発生すれば画面に直接書き込み、全員で共有できるようにしました。また書き込んだ画面はそのままサーバに保存し、必要なときに誰もが再確認できるようにしました。
成果
工程表に書き込みながら情報共有することで、ミーティングの精度が上がり、情報周知が徹底されました。また生産状況をタイムリーに周知徹底できるようになったほか、書き込みをした工程表の画面をそのまま保存し、必要なときにすぐに再表示や追加修正できるようになりました。これらの結果、現場では生産計画に対する意識も高まり、作業の漏れやミス軽減を実現しています。
工程管理の見える化ツールの導入ポイント
工程管理の見える化ツールを導入する際には、次のポイントを押さえて行うと良いでしょう。
目的と課題の明確化
見える化の手段は複数ありますが、どれを選ぶかによって効果が変わってきます。選定ミスを予防するためにも、まずは見える化の目的を明確にしましょう。そのためには工程管理に関する課題を洗い出し、解決策としてのツール導入を検討することが大切です。
現場の声をもとにしたツール選定
ツールの候補が挙がったら、目的に合致するかどうかはもちろんのこと、現場の声を聞き入れるなどして、操作が誰にでもわかりやすく使いやすいツールを選ぶことが肝心です。
継続的な運用改善
ツール導入後も、より効率的な活用ができるように継続的に改善していくことを想定するなど、導入前から運用体制を整えておくことで、より有意義な活用を行えるでしょう。
まとめ
製造業における工程管理の見える化は、製造管理や品質管理の質を高めることから、生産性や業務効率の向上が期待できる手法です。見える化はExcelなどでも可能ですが、インタラクティブホワイトボード（電子黒板）などの多機能デバイスを導入することで、リアルタイムに情報を更新・共有し、製造現場のDXが進み、より多くのメリットを得ることができます。
今回、事例としてご紹介したリコーのインタラクティブホワイトボード（電子黒板）はすでに多くの生産現場に導入が進んでいます。
工程見える化の一環として導入をご検討されている方は、活用法もご提案、ご相談受付をいたしますので、お気軽にお問い合わせください。