オフィス改革は、従業員の働き方を見直し、多様なワークスタイルに対応するために従来のオフィスを見直し、働きやすい環境を作るために課題を解決する取り組みです。
今回はオフィス改革の概要から背景、実施するメリット、オフィス改革のアイデア10選やオフィス改革で陥りがちな落とし穴と回避策、成功させるポイントをご紹介します。これからオフィス改革を進める方は、ぜひ参考にしてください。
オフィス改革とは、近年推進されている働き方改革やコロナ禍を受けて浸透する新しい働き方などを受け、オフィスのあり方を根本から見直す取り組みを指します。
オフィスを「改革」するということは、ただの改装やリニューアルではなく、根本からオフィスの意義を問い正し、新たな意義や価値を実現するオフィスに作り替えることを意味します。
目的や内容は各社によって異なりますが、その方向性として、近年求められている従業員それぞれのライフスタイルや事情に合わせた働きやすいオフィスを目指すことは共通しているでしょう。
性別や年齢問わず、働きやすいオフィス環境は、従業員のパフォーマンスアップと生産性向上につながります。
近年、多くの企業がオフィス改革に取り組んでいる背景として、働き方改革との関連が考えられます。
国が厚生労働省を中心に推進している働き方改革では、長時間労働の削減やテレワークの導入、同一労働同一賃金の推進など、誰もが働きやすい環境づくりを推進しています。
オフィスというハード面の環境についても改革が求められていることから、オフィス環境の見直しが進められています。
オフィス改革の主な施策と実施することのメリットをご紹介します。
フリーアドレス
固定席を設けず社員が自由に席を選び作業を行うワークスタイルに基づく執務室のスタイルです。
ハイブリッドワーク
リモートワークとオフィスワークを組み合わせた働き方です。フリーアドレスの採用やオフィススペースの縮小とリフレッシュスペースの設置などを推進します。
ペーパーレス化
社内文書を電子化して紙の手渡しや印鑑による承認などを一掃し、場所にとらわれない働き方を推進します。
クラウドベースのコミュニケーションツールの導入
場所を問わず利用できるクラウドベースのコミュニケーションツールを導入することで、チーム間でのコミュニケーションを円滑にし、フレキシブルな働き方をサポートします。
スマートオフィス
従来のIT技術や、IoT*やAI(人工知能)などの先端技術を取り入れることにより、オフィスのあらゆる機能を高度化・多様化して利便性を高めたオフィスです。遠隔からの空席・会議室予約や空調のAIによる自動コントロールなどを通じてオフィス環境や働き方の刷新を支えます。
リフレッシュスペースや個人ブースの導入
業務の合間の休息やリラックスにつながるリフレッシュスペースや、集中して一人の作業が行える個人ブースの導入は、働きやすくパフォーマンス向上につながるオフィスにつながります。
上記の施策を実施することで、業務効率化・生産性向上、社内コミュニケーション促進など、企業にとっての直接的な利益につながるメリットが期待できます。
また従業員満足度向上や、従業員のメンタルヘルスやウェルビーイング向上といった働きやすさが高まることで生まれるメリットもあります。
その他、周囲からの企業イメージ向上、採用強化などにもつながるでしょう。
オフィス改革はさまざまな方法で実践することができます。これからオフィス改革を検討する場合に、どのような方法が考えられるか、アイデアを探している方に向け、ヒントをご紹介します。
書類がデスク下や通路に山積みの場合、オフィス全体の作業効率を下げてしまいます。作業効率アップのために書類を削減しましょう。収納庫に収まっているから問題ないと思っていても、そのスペースをもっと効率的に利用することもできるはずです。廃棄もしくは電子化することを検討しましょう。
オフィススペースをできるだけオープンにすることで、作業効率を高められます。まずは袖机やデスクの引き出しをなくし、その書類や備品を個人ロッカーに日々収納する習慣を定着させることも一案です。
リモートワークと出社を交互に行うハイブリッドワークなどでは、出社しない日は個人デスクのスペースコストを無駄に浪費しています。自席をなくし、デスクシェアする体制にすることも一案です。
同様に、スペース確保と無駄の削減のために、複合機の台数を削減することも一案です。レンタルの場合は契約を切る、自社の資産の場合は他の必要な拠点へ移すなどが考えられます。
いつも会議室の予約が埋まっていて、すぐに話が弾んできた段階でミーティングスペースに移りたいというシーンが増えていませんか? その場合はミーティングスペースを増やしましょう。半個室ブースやソファとテーブルを配置するだけでも変わってきます。
フリーアドレスの場合、周囲がオープンなのでWeb会議や集中したいときに不便、という声が従業員から聞こえてくる場合、個室ブースを導入することで、新たな働き方を推進できます。
久しぶりにオフィスに出社した日は、従業員と顔を合わせてコーヒーでも飲みながら語らいたいということもあるでしょう。思わぬアイデアが創出されるかもしれません。カフェスペースなど、ラフな会話スペースを導入することで、オフィスの役割が刷新されます。
リモートワークの浸透により社内コミュニケーションが希薄化するといわれる中、気軽に会話ができ、つながりを持てるビジネスチャットツールの導入は、オフィスコミュニケーション変革につながります。
一人で短時間でも昼寝したり、くつろいだりするリラックススペースの導入により、従業員の生産性向上と満足度向上に寄与します。
スポーツジムの一角をオフィスに作ることで、オフィスに新たな価値を加えることができます。出社した日はミーティングを重ね、夕方以降はトレーニングで汗を流す。そんな従業員の新しい働き方がイメージできます。
オフィス改革で陥りがちな落とし穴と回避策をご紹介します。
フリーアドレスとは、従業員一人ひとりの固定席をなくし、空いている席で働くワークスタイルです。導入すればオフィス改革につながると期待しますが、かえって業務効率が低下する結果になることもあります。
このような事態を防ぐには、まずフリーアドレスを導入する目的を明確にし、適切な動線設計を行うことがポイントです。
フリーアドレスは固定席がなくなる代わりに、立場や部署を超えたコミュニケーションを促進するメリットがあります。一方、部署内やチームでのコミュニケーションを密に取る必要がある業務の場合、かえって効率が悪くなることがあります。
現状の業務に本当に適しているのか、従業員に対して部署ごとにニーズをヒアリングするなどが考えられます。
予算が限られていて、ミーティングスペースにカフェスペース、リモートワークの導入などアイデアはあるものの、すべて実施するのが難しいこともあるでしょう。その場合は、優先順位を決めて段階的に実施するのがおすすめです。その際に、オフィス改革の目的の明確化と現状課題の洗い出しが鍵となります。
リモートワークやフリーアドレス、ABW(Activity Based Working)などさまざまなオフィス改革の施策を実施する一方で、従業員から反発がくることがあります。改革というものはこれまでのやり方を刷新することであるため、既存の方法を支持する場合は特に反発が強くなります。
導入前に、まず従業員アンケートなどでヒアリングを徹底すること、経営方針やビジョンをトップがしっかりとメッセージとして打ち出し、従業員へ理解を促すことなどが回避策として考えられます。
オフィス改革を進めると共に、組織文化の変革も進めていきましょう。ここでは組織文化変革のポイントを解説します。
コストをかければ改革は進むという考えは改め、物理的な改革を進めるのは避けましょう。経営戦略やビジョンに基づく大きな指針に沿って進めることが重要です。
重要なのは組織全体が意識を変えることにあります。可視化要素としてオフィスレイアウトや見た目、企業ロゴ、組織構造などを「旗」として、企業理念やビジョンを明確にして共有することが先決です。
トップメッセージを繰り返し発信し、浸透させることが重要ですが、その次は従業員の自主性を引き出すことです。オフィス改革のプロジェクトをボトムアップで進めるために構成メンバーをさまざまな役職から選ぶのもおすすめです。
オフィス改革を成功させるポイントをご紹介します。
先述の通り、目的が明確でなければ、施策の選定軸がぶれてしまい、結果的に成果が出ない、従業員に受け入れられずに終わってしまいます。オフィス改革を何のために進めるのかを納得感が得られるよう、検討しましょう。
オフィスを利用するのは従業員であるため、まずは従業員の声を聞きましょう。現状課題を洗い出すことがポイントです。
オフィスレイアウトを見直す場合、従業員の普段の動線を意識することで作業効率が向上します。
目的と現状課題、緊急性などに照らし合わせて、優先順位を決めましょう。まずはスモールスタートで始め、成果が出た段階で全社展開していく考え方も有効です。
オフィス改革を実現した事例をご紹介します。
ある企業は、新社屋の竣工を機に、オフィスのあり方を再定義し、改革を目指しました。
黙々と仕事をする従来の職場のイメージを払拭し、イキイキ・ワクワクできる場、新しい価値を共創していく場にしたい。
明るく開放的な空間になり、部門を超えた社員同士の交流を促進し、業務効率向上にも寄与しました。
リニューアルを超えた「改革」を行うために、従来のオフィスイメージを根本から変えるアイデアを第三者の専門家から取り入れたことが功を奏しました。
また物理的な隔たりを取り払うことで、そこにいる人たちの心もオープンになることなど、心理面も考慮した施策もポイントです。
オフィス改革は、働き方改革の推進と同時に行うことで、より成果につながると考えられます。生産性向上や従業員の満足度向上は、対外的なアピールにもつながるでしょう。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様のご支援をいたします。
”新しい働き方”をお客様と一緒に考えながら、オフィス移転やリニューアルを、計画から理想の働き方が実行されるまで、プロジェクトマネジメントの業務も含めワンストップでご支援いたします。
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